TOYONAKA ビジョン22


創刊号 1998年5月リリース

特集 :都市自治体運営と政策形成〜その課題と展望〜


   行政改革をはじめとする「6大改革」や地方分権の推進と相まって、自治体レベルでも政策指向が強まりつつあります。国(省庁)が政策をつくり、地方が執行する垂直的な関係から、「自己決定」と「自己責任」を基調に、国と自治体との水平的な関係づくりに向けて、自治体レベルでも政策形成能力の向上を目指した取り組みが行われています。
 これまで、豊中市では、時代、時代に発生した都市問題を解決するため、各種計画づくりやルールづくりをとおして、地域の実情に即した自前の政策を立案・実施してきました。しかし、近い将来を見通した場合、人口減少と少子・高齢化、地域産業のリストラ、財政構造改革の進展、地方行革の推進など、都市を取り巻く内外の状況はこれまでにない厳しさに直面し、都市政策のあり方に関して大変革の必要性に迫られることが予想されます。
 こうした厳しい状況に対し、自治体はこれまで以上に市民との連携や分担のもとに、その解決すべき政策目標を明確に示し、市民と共有するとともに、政策手法の開発を含む政策システムの再構築と、それを実行に移す新しいルールの確立が必要になると思われます。今回の特集では、これら一連の活動の系を「政策」活動として捉え、21世紀にふさわしい都市自治体運営とその基礎となる政策形成の課題と展望を探ってみます。


■特集テーマ

自治体都市政策の展望とその政策主体
 −全国市長会の調査を契機に−
九州大学大学院比較社会文化研究科教授 本間義人

地方行革と市民参加のまちづくり
 −豊中市の取組みを事例に−
関西大学法学部教授 池田敏雄

都市自治体の政策能力 同志社大学法学部教授 真山達志

自治体行政の計画と政策 神戸大学法学部教授 山下 淳

自治体の政策責任の可能性
−政策をめぐる二つの責任概念−
岩手県立大学総合政策学部教授 山谷清志
 トピックス

地域と地球環境問題 株式会社 大阪ガスエネルギー・文化研究所 山藤泰

環境行政と市民参加
−とよなか市民環境会議とローカルアジェンダ21−
豊中市生活環境部環境課 川崎健次
エッセイ〜豊中に想う〜

インフラ・ストラクチュアとしての「人権文化」 大阪女子大学学芸学部教授 井上眞理子

豊中雑感 −あるビジターの想い出− 大阪市立大学経済研究所教授 植田政孝